医療コラム
発熱について③
17.05.2026

前回はお子さんの発熱時は脱水症状のケアが非常に大切というお話をしました。今回は発熱時に親御さんが心配する「脳の障害」についてのお話です。
まず、結論から言うと、発熱だけが原因で脳にダメージを与えることはありません。そもそも発熱は体を守るための免疫のしくみです。子どもの発熱の原因で多いのは感染症なのですが、発熱している体内ではウイルスなどの病原体は増えにくいのです。また発熱によって、病原体と闘う白血球の数も増えやすくなります。つまり、発熱は体が病原体と闘うための反応なので、それ自体を心配する必要はないのです。
脳に炎症が及ぶいわゆる脳炎や脳症は重い病気で、子どもではインフルエンザ等の合併症として起こることもあります。ただ、これは熱そのものが悪さをしているわけではなく、ウイルスや細菌などの病原体のせいで起きています。その為、早く熱を下げないと脳炎や脳症になるというわけではありません。脳炎や脳症の症状は、意識状態が悪いとか、ぐったりして何度も吐くなどです。そこで発熱時に急いで受診が必要かの目安、つまり重症かどうかの判断は熱の高さではなく、意識状態が悪いとか、ぐったりして何度も吐く等で行います。これらの症状がある場合には速やかな受診が必要です。一般的には、発熱があっても元気ならすぐに病院を受診する必要はなく、3~4日経過しても解熱しない場合に受診をお勧めしています。
※ただし、生後3ヵ月以内のお子さんの場合は例外です。こちらの話はまた別の機会にしていきたいと思います。
さて、次回は熱性けいれんについてのお話です。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。