狂犬病とは? フィリピンで注意しておくべきこと
28.05.2024 | コラム
4月からフィリピンに移住された方は、新生活が始まって1〜2ヶ月が経ちやっと落ち着いてきた頃でしょうか。
新しい環境にワクワクしている方、フィリピンで遭遇する海外生活ならではのイベントに驚く方も多いかと思います。
今回は医療機関という立場から、フィリピンで新生活を始める皆さまにぜひ知っておいていただきたい狂犬病についてのおはなしをしていきます。
狂犬病とは?
狂犬病とは、狂犬病ウイルスによる人獣共通感染症で、一度感染すると100%死亡する恐ろしい病気です。
感染源は狂犬病に感染した犬やコウモリ、猫などで、そういった動物に噛まれたり引っ掻かれたりすることにより感染します。
噛まれた深さや場所により数週間から数か月を経てウイルスが神経索を通り、中枢神経に到達すると以下のような様々な神経症状を引き起こします。
- 夜間の譫妄(意識の混乱)
- 突然暴力的になる
- 喉の筋肉がマヒしてよだれが出る
- ものを飲み込みにくくなり、筋肉が痙攣するため水を恐れるようになる(恐水症)
- 知覚過敏のせいで匂いのきついものや光を避けるようになる
- 全身が麻痺して呼吸困難となってしまうこともある
フィリピンでの狂犬病のリスク
フィリピンでは、年間約200〜300件の狂犬病の事例が報告されています。
フィリピンは、飼い犬はもちろん野良犬などの野性の動物も多い環境です。特に野良犬については、不要な接触は避けるような工夫が必要です。
こういった環境の中でお子さまの場合は特に、遊び心から野良犬や野良猫に触れてしまうケースが多々あります。
狂犬病のリスクを踏まえ、保護者や大人の方が噛まれたり引っ掻かれたりするような機会を極力減らす工夫が必要となるでしょう。
また犬だけでなく、サルやコウモリ、猫などの動物も狂犬病ウイルスを保持している可能性があります。
こういった動物に引っかかれたり噛まれたりした場合は、24時間以内に必ず医療機関を受診するようにしましょう。
狂犬病の治療法・予防法
有効な治療法は確立していません。ただし、発病を食い止めるための方法は以下の通りです。
まず、もし咬傷してしまった場合には、応急処置として流水とせっけんを使って傷口をよく洗い流してください。ウイルスは動物の唾液に含まれますので、動物に噛まれたり舐められたりした箇所が体の粘膜に触れないようにしてください。
WHO(世界保健機構)では流水で15分間洗浄し、消毒薬で傷口を消毒することを推奨しています。
また、狂犬病を疑われる動物に噛まれた場合、暴露後のワクチンを早期接種することで発病を食い止めることができると言われています。
早急な接種を要する事態ですので、通常は病院の救急(ER: Emergency Room)や動物咬傷治療外来(Animal Bite Center)で接種することが多いです。
ウイルスが脳に到達する前に食い止める必要があるので、24時間以内になるべく早く暴露後のワクチン(1回目)を接種します。このポイントは非常に重要です。
その後、3日後、7日後、14日後、28日後の計5回のワクチン接種をします。
ただし状況によっては医療機関の判断で追加のワクチン接種が必要とされるケースもあります。
もし狂犬病の予防接種を既にされている場合は、暴露後の接種は2回のみとなります。
ただし予防ワクチンのメーカーや患者さまの免疫機能の状態によっては必要となる回数が異なることもあります。
詳しくは医療機関の指示を仰いでください。
ひばりクリニック マニラ院では狂犬病の予防ワクチンの接種が可能です。
予防ワクチンの回数やブースター接種の可否などの詳細については、個々人のワクチン接種履歴や暴露後のリスクをもとに医師に相談いただくのがおすすめです。
接種をご希望の方、ワクチンについて詳しく知りたい方はLINEよりお気軽にお問い合わせください。
日本語話者のスタッフがサポートいたします。
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参考
狂犬病(Rabies)|厚生労働省 検疫所
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/name47.html