医療コラム
発熱について④
24.05.2026

今回はお子さんの発熱時に心配することの多い熱性けいれんについてです。
熱が上がると、熱性けいれん(いわゆる、ひきつけ)が起きることがあります。これは生後6か月から5歳に起きやすいです。早く熱を下げれば熱性けいれんを予防できるのではないか、と思うのは自然な感覚だと思います。残念ながら現時点では、熱が出たときに早めに解熱剤を使っても、けいれんを予防できないことが多くの研究で分かっています。逆に言えば、「熱を下げないと、けいれんが起きてしまう」と焦って心配する必要もないということです。なお、熱性けいれんの多くは5分以内の短時間で治まるもので、こういった短時間のけいれんが脳に障害を引き起こすことはないのでご安心ください。また、目の前でけいれんをしている様子を見ると「死んでしまうかもしれない」と不安になると思います。しかし、典型的な熱性けいれんであれば、命にかかわることはありません。まずは落ち着くことが重要です。平らで安全なところに寝かせて衣服を緩め、嘔吐した場合にのどにつまらないよう顔を横に向けましょう。体を押さえつけたり、口に手や物を入れたりするのはかえって悪影響です。
さて、お話を戻しましょう。発熱のお子さんへの対処方法はどうすればよいでしょうか。熱を下げる手段として解熱剤があります。解熱の利点には ①不快感を和らげること ②発熱に伴う脱水を防ぐことが挙げられます。「眠っているけど熱がある場合に解熱剤を使っていいのか」はよく聞かれる質問です。これについては米国小児科学会の小児科医151名に対して行ったアンケート調査で、87%にあたる131名が「解熱剤を使うために起こす必要はない」と回答しています。①の不快感を和らげることこそが解熱剤の大きな役割であり、しっかり休ませることが大事だと多くの小児科医は考えていることが分かります。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。