医療コラム
薬の色で味を想像できる?
12.07.2026

みなさんが「薬」といわれて思い浮かべるイメージは、どのようなものでしょうか?白い錠剤はもちろんですが、実際、ウェブで「薬」と入力して画像検索すると、色とりどりで鮮やかなカプセルの写真やイラストがあります。フィリピンにも様々な色のカプセルがありますね。実は有効成分である医薬化合物自体は無色であることがほとんどであり、鮮やかな色は着色剤によるものです。数少ない例外が抗炎症薬のアズレン類で、青い色がついている分子です。その名前自体も、青色を意味する「azul」に由来しています。青いユニフォームをまとったサッカーイタリア代表の愛称「アッズーリ」、フランスの有名な観光地・コートダジュールなども、これと同じ語源からきている言葉です。
お話を戻しましょう。ではそもそもなぜ薬に色をつけるでしょうか。大きく2つの意味があります。一つは他社の薬との差別化を図ることでしょう。日本の薬にあまり派手なものが多くないのは、着色料のどぎつい色があまり好まれないせいかもしれませんが、アメリカなどは着色料にあまり抵抗のない国柄なのか、昔から食品や飲料なども派手な色彩のものが市場にあふれていますから、鮮やかな色彩の薬も受け入れられやすいのでしょう。自由競争の国アメリカでは、薬の色もマーケティングにおける重要な要素であるようです。
そしてもう一つが患者さんの印象に残り、飲み忘れることがないようにするためです。世界的には、強烈な色で忘れないように薬を印象づける手段と言われています。ただ日本ではあまりそうした効果はないと言われているのも事実です。別の調査によれば、薬剤についている色は、薬の味に対する印象に結びついているといいます。黄色い薬は塩味、ピンクの薬は甘い味、黒や緑は苦味を連想させるというデータが出ています。こうした印象を利用し、子供向けの薬はピンクにしておけば、かなり抵抗感を減らせるのかもしれませんね。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。