医療コラム

不思議の国のアリス症候群とは?

21.06.2026

世界中で知られている童話『不思議の国のアリス』。アリスがある薬を飲むと、大きくなったり小さくなったりするというお話があります。
不思議の国のアリス症候群とは、この童話にちなんで命名された病気です。エピソードにあるように、体や目に異常はないのに、遠くにあるものが大きく見えたり、自分の体の一部が大きくまたは小さく感じたり、時間が実際よりも早かったり遅かったり感じるという変視や錯視等が起こる病気です。物が大きく見えたり、小さく見えたりする、音が大きく聞こえたり、小さく聞こえたりする、そのほか空中を浮遊している様な感覚が現れることもあります。特に、園児から小学生の児童に多く見られますが、稀に成人にも見られます。

この症候群は精神的な問題から発症する病気ではありません。子どもの場合、発熱や頭痛が引き金になることも多く、まれにてんかんや脳炎、統合失調症などに関連することもありますが、多くは成長過程で見られる一時的な現象です。

しかし、何がどのように見えるか聞こえるかは本人にしか分からないため、最初は夢を見ているだけか、冗談を言っているのかと親は疑ってしまうかもしれません。不思議な経験をして親に伝えても、相手にされずそのまま大人になる子どもも多いようです。「こんな病気があるんだ」と認識しておくことで、子どもが不思議な体験を語ることがあっても、慌てず落ち着いて対応できますよね。「また面白い見え方があったら教えてね、こういうこともあるから怖がらなくても大丈夫だよ」と親が伝えてあげることで、子どもは安心します。

不思議の国のアリス症候群は、ほとんどの場合は一時的なものなので過剰な心配は必要ありません。長引くようであれば、小児科医など専門の先生に相談してみましょう。


著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada

Oriental Wellcare Group Founder

放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。

2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。