医療コラム
日本人の9割以上に潜伏
09.08.2026

痛みを伴う皮膚疾患として、海外に暮らす在留邦人の方の罹患が多い病気があります。それが「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」です。
帯状疱疹は、体内の神経に潜んでいた「水痘・帯状疱疹ウイルス」が再び活性化することで発症する皮膚疾患です。身体の右側、または左側のどちらか一方の神経に沿って、帯状に症状が出るのが大きな特徴で、痛みを伴う皮膚症状が3週間ほど継続します。
経過としては、まず皮膚にピリピリ、チクチク、ズキズキとした神経痛のような痛みが出ます。その後1週間程度で、その痛みがある部分に赤い斑点が見られるようになります。さらにその中に水ぶくれができ、それが破れてびらん(ただれた状態)になり、最終的にかさぶたになって症状がおさまる、というプロセスを辿ります。
帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスなので、このウイルスの保有者であれば誰でも発症する可能性があります。このウイルスは子供の頃によくかかる「水疱瘡(みずぼうそう)」を引き起こすもので、初めて感染したときは水ぼうそうとして発症します。
日本人の多くは幼少期に水疱瘡に罹患しているため、日本の成人の9割以上がすでにこのウイルスを体内に保有しています。症状がおさまってもウイルスは完全に除去されたわけではなく、実は脊髄近くの神経細胞にずっと身を潜めているのです。
加齢やストレス、過労などが引き金となってウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び暴れだし、神経を伝わって皮膚に到達して帯状疱疹を起こします。60歳代を中心に50歳代〜70歳代に多く見られる病気ですが、過労やストレスが原因で若い人に発症することも珍しくありません。
通常は胸から背中にかけて最も多くみられ、全体の半数以上が上半身に発症します。また、顔面、特に目の周囲も発症しやすい部位です。 かつては生涯に1度しか発症しないと言われていましたが、近年では免疫が低下している方に限らず、健康な人でも数%の割合で再発するケースがあることが分かっています。
なお、帯状疱疹が他の人に「帯状疱疹」として直接うつることはありません。ただし、水ぼうそうにかかったことのない乳幼児などに、患者さんの水ぶくれからウイルスが感染し、「水ぼうそう」として発症させてしまう場合はありますので、周囲への配慮は必要です。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。