医療コラム
ピロリ菌に感染すると・・・
18.10.2026

「ピロリ菌」という名前を聞いたことがありますか?この菌は胃の中に長年住み続けている細菌で、正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
このピロリ菌、名前の由来をたどっていくと、その特徴がよく分かります。「ヘリコ」とは「らせん」や「旋回」という意味で、ヘリコプターのヘリコと同じ意味です。「バクター」 は「細菌」、「ピロリ」は胃の出口付近にある「幽門」を意味します。つまり、「幽門付近に生息する、らせん状の細菌」という名前なのです。
ピロリ菌の驚くべきところは、強い胃酸がある胃の中で生きられること。胃の中は、食べ物を消化するために強い酸性になっていて、細菌にとっては過酷な環境です。ところがピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を作り、菌の周囲の酸を中和することで、胃の中でも生き延びることができます。
ピロリ菌は体が細長い「らせん状」をしていて、体の片側に数本のひげ(べん毛)を持っています。このべん毛を素早く回転させて、胃の粘膜や壁を傷つけるのです。その結果、ピロリ菌が胃の中にいると、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍になりやすいと言われています。
しかし、ピロリ菌が胃の中にいても、必ず胃痛などの症状が出るわけではありません。症状が出るのは、保菌者の3割程度に過ぎません。万が一症状が現れた際には、早めの診察が重要です。胃もたれ・胸やけ・吐き気・空腹時の胃痛・食後の腹痛・食欲不振や逆流性食道炎などの症状がある場合は、ピロリ菌が原因かもしれません。
ピロリ菌検査には血液や尿、便、胃カメラなど検査方法はさまざまですが、痛みもなく簡単にできる、精度の高い尿素呼気試験法という検査もあります。検査薬の服用前後に呼気を採取し、ピロリ菌が産生する酵素「ウレアーゼ」の働きによって作られる二酸化炭素の量を調べます。少しでもおかしいなと思ったら、早めの受診を心がけてくださいね。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。