医療コラム

妊婦さんの糖尿病

01.11.2026

妊娠中の大きな変化の一つに、血糖値の変化があります。皆さんは「妊娠糖尿病」という言葉を聞いたことがありますか?妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値のコントロールが上手くできなくなり、糖代謝異常を起こす病気です。糖代謝異常とは、空腹時や食後の血糖値が異常に高くなることを言います。

私たちの体は食べ物が消化吸収されると血糖値が上昇し、すい臓から分泌されるインスリンによって一定の血糖値に戻されます。しかし、妊娠すると、赤ちゃんにたくさんのエネルギーを送るため、胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されます。結果としてインスリンの働きが追いつかなくなり、血糖値が上がりやすくなります。妊娠糖尿病は、妊婦さん自身の努力不足や食生活だけが原因で起こるものではないのです。

妊娠糖尿病は、妊娠前から糖尿病がある場合とは区別されます。自覚症状がなく突然診断されることもあり、妊婦さん全体の約12%にみられるとても身近な病気です。妊娠糖尿病になることで、妊婦さんと赤ちゃんの命に関わる病気を引き起こす場合もあります。

妊娠による体の変化が関係するため、妊娠糖尿病を完全に予防することは難しいです。しかし、毎日の食生活や生活習慣を整えることで、血糖値のコントロール改善につながります。例えば、野菜などの食物繊維を先に食べて血糖値の急上昇を防ぐ、適度な運動をするなどです。ただし、妊娠中は過度な食事制限や無理な運動は避ける必要があります。医師のアドバイスを受けながら取り組みましょう。

妊娠糖尿病になりやすい人としては、妊娠してから急激に体重が増加した人、35歳以上の人、肥満の人、家族に糖尿病患者がいる人などです。妊娠糖尿病は多くの場合、出産後には血糖値が正常に戻ることも特徴の一つです。妊婦健診をしっかりと受けて早期発見に努めるとともに、日頃から食生活や生活習慣に気を配ることが、お母さんと赤ちゃんの健康につながります。


著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada

Oriental Wellcare Group Founder

放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。

2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。