医療コラム
狂犬病について
20.09.2026

今回はフィリピンで注意しなければならない病気の一つ、狂犬病についてのお話をしていきます。フィリピンでは、毎年200~300人程度が狂犬病を発症しています。
狂犬病は狂犬病ウイルスによる人獣共通感染症で、発症するとほぼ100%死に至るという恐ろしい病気です。感染源は狂犬病に感染した犬やコウモリ、猫などで、そういった動物に噛まれたり引っ掻かれたりすることにより感染します。数週間から数か月を経てウイルスが神経を通り中枢神経に到達すると、さまざまな神経症状を引き起こします。夜間のせん妄が起こったり、突然暴力的になったり、喉の筋肉が麻痺してよだれが出たり、光や音、水などの刺激を避けるようになります。全身が麻痺して呼吸困難となってしまうこともあります。
有効な治療法は確立していませんが、狂犬病が疑われる動物に噛まれた場合は、ワクチンなどの適切な予防処置をできるだけ早く受けることで、発症を防ぐことができます。ウイルスが脳に到達する前に食い止めることが重要なので、できるだけ早く曝露後ワクチン(1回目)を接種します。24時間以内の対応が望ましいです。その後、ワクチンの種類や過去の接種歴にもよりますが、複数回のワクチン接種が必要になります。また、応急処置として流水と石けんを使って傷口をよく洗い流してください。WHO(世界保健機関)では流水で15分間洗浄し、消毒薬で傷口を消毒することを推奨しています。
フィリピンでは、飼い犬はもちろん野良犬なども多く見られます。また、犬だけでなく、サルやコウモリ、猫などの動物にも注意です。動物が人に慣れているように見えても、狂犬病ウイルスを保有している可能性があるため、不用意に動物へ近づかないことが大切です。そして、万が一このような動物に噛まれたり、引っかかれたりした場合は、応急処置後、傷が小さくても自己判断で放置せず、24時間以内に必ず医療機関を受診するようにしましょう。
著者紹介

島田栄治医師/Dr. Eiji Shimada
Oriental Wellcare Group Founder
放射線科専門医。独立系として国内最大規模の遠隔読影サービス会社を経営し、日本全国250以上の病院から月間1万件を超える読影を受注。また、日本における在宅医療のパイオニアとして、国内最大級の在宅医療特化型医療法人を設立・運営した経歴を持つ。
2014年11月に Oriental Wellcare Group を創業。現在はフィリピン、マレーシア、アメリカの3ヶ国で医療機関を幅広く展開。フィリピンをはじめ、海外で暮らす日本人が安心して高度な医療を受けられる環境づくりに尽力している。